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Home > コラム > 第20回 電車の臭いって何?
第20回
電車の臭いって何?
少し前から気になっていた臭いがあります。 それは、ある電車の車両に乗った時の臭いです。 そして、その臭いは普通車よりもグリーン車でより強く感じられました。 ホームに電車が到着し、ドアが開き一歩踏み込んだ時、少し強く感じるクレゾールの様な或いは獣の様な臭い。

臭いをサンプリングする方法の一つに、臭い成分を活性炭で吸着させる方法があります。 写真1が活性炭ディスクという物です。 これを吊り下げ(写真2)臭いを吸着させます。 この活性炭ディスクは優れもので、倉庫やコンテナ内の臭い、食品や飲料の香りもサンプリングすることが可能です。 サンプリング後は密閉容器に入れ(写真3)持ち帰り、臭い成分を溶剤で溶出し、GC-MSで分析します。

写真1
活性炭ディスク
写真2
臭いの吸着
写真3
密閉容器

分析結果は図1に示しました。 ここでも臭い成分としてコラムで紹介したクレゾールが検出されました。 そして、獣臭として特徴的なイソプロピルフェノールが検出されました。 これらの臭いが車両室内の臭いを特徴付けている様です。

図1. 車両室内の臭い成分のGC-MS分析結果
図1. 車両室内の臭い成分のGC-MS分析結果

以前に新品のタイルカーペット(写真4)から獣臭がするので分析したことがあります。 その結果が図2です。 ここからも獣臭の原因物質として、イソプロピルフェノールが検出されました。 タイルカーペットの表面は羊毛ではなく、ナイロンやポリプロピレンが使われており、ほとんど臭いはしませんでした。 しかしゴム引きされた裏面からは強く獣臭が感じられたので、このタイルカーペットの獣臭の原因は、裏面のゴムなど樹脂であることが判明しました。

図2. 獣臭タイルカーペットのGC-MS分析結果
図2. 獣臭タイルカーペットのGC-MS分析結果
写真4
タイルカーペット

東海道山陽九州新幹線の車両では、グリーン車の床はカーペットが敷かれ、普通車は樹脂製の床材が敷かれています。 また、壁や座席も樹脂製です。 したがって、これら樹脂から発生する微量の臭い成分が、車両室内の臭いを特徴付けているものと推測されました。 これらの臭いは、時間の経過とともに新車の臭いの様に弱くなると考えられます。

喫煙車両が減って行く中、タバコの臭いは気にならなくなりましたが、新車両の臭いが少し気になります。 ただし、人の嗅覚は良くできていて、乗った直後は気になった臭いもしばらくして慣れると気にならなくなります。 不快な臭いを嗅覚の慣れで我慢するのではなく、良い香りで心地良く過ごす事の出来る車両が現れることを願ってやみません。
(2012年1月) 
 
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